公開日: 2019.07.15  更新日: 2019.08.08

着物の柄から感じる日本の四季!旬のものを選ぼう

四季のある日本では古くから季節感を大切にしており、着物も季節によって生地だけでなく、色や柄を変えてきました。四季の草花など季節に合った柄の着物を着こなすことで、趣のある洗練された印象を与えられます。

着物の季節感は「先取り」が基本で、実際の季節よりも1ヶ月ほど先取りすることが一般的です。

今回は、季節別におすすめの着物柄を紹介します。着物の柄が持つ意味を知った上で、ワンランク上の粋な着こなしを楽しみましょう。

1.代表的な着物の文様・柄の種類

代表的な着物の文様・柄の種類
着物の代表的な文様・柄の種類には、「吉祥文様」「有職文様」「季節の柄」「生き物の柄」「古典柄」があります。「柄」はデザインのメインとなる形や模様を意味する言葉であるのに対して、「文様」は形・色・構成のすべてを指す言葉です。
下記の表に着物のデザインとして用いられる代表的な文様・柄の種類と特徴を5つ紹介します。

文様・柄の種類:吉祥文様
代表的な柄特徴
  • 麻の葉
  • 亀甲
  • 松竹梅
  • 青海波
  • 七宝 など
  • 縁起が良く、祝いの席に好まれるモチーフ。
  • 中国から伝来してきたものや古くから日本にある縁起物など。
文様・柄の種類:有職文様
代表的な柄特徴
  • 小葵文
  • 菱文
  • 立涌文 など
  • 平安時代から貴族や公家の服装・調度品の装飾に使われた格調ある文様。
  • 織文様(色糸で織り出した模様)に由来するものが多く、通年使える。
文様・柄の種類:季節の柄
代表的な柄特徴
  • 紅葉
  • 雪 など
  • 日本の春夏秋冬を表現する、四季の草花や動物、自然の柄。
文様・柄の種類:生き物の柄
代表的な柄特徴
  • 龍 など
  • 哺乳類や鳥、水辺の生き物、昆虫、想像上の動物などの柄。
  • 動物の生態によって、縁起を担ぐ意味も込められている。
文様・柄の種類:古典柄
代表的な柄特徴
  • 短冊
  • 鼓 など
  • 日本で昔から親しまれてきた伝統的な柄。
  • 柄には、歴史上の伝説や宗教上の信仰などの意味が込められていることもある。

2.春におすすめの着物の柄3選

一斉に美しい花々が蕾を開く春は、明るいパステルカラーの色合いの着物がおすすめです。着物の柄を選ぶ時は、その季節より少し先取りしたものを選びましょう。
例えば、まだ桜が蕾から三分咲きまでの時期に桜の柄を選び、それ以降は藤や牡丹の柄を選ぶことで、季節の先取りとなります。

①桜
春の定番である桜の柄は、冬の終わりから桜の花が三分咲きの3月下旬までの間、着付けることが一般的です。満開の桜の時期に桜柄の着物を着ると、本物の桜と競い合っているようで野暮ったい印象を与えます。
桜は日本を代表する花であるため1年中着ても問題ないという考え方もありますが、幹や枝が描かれている写実的な柄は、春以外の季節に着用すると季節外れな印象が強いため、避けた方が無難です。

②藤
桜が終わる4月~5月頃が、藤の花の咲く時期です。桜が満開となる3月の終わり頃から4月頃までに藤柄の着物を身に付けると、季節の先取りとなります。
藤の花が房状に付く姿が稲穂に似ていることから、豊作を願う意味としても使われてきました。藤は、単独で描かれるだけでなく、他の草花とともに描かれることが多いです。

③牡丹
大輪の美しい花を咲かせる牡丹は「百花王」とも呼ばれ、古くから人気の柄です。牡丹の美しく存在感のある花が華やかさを演出するため、お祝いの席や晴れ着、振袖にも頻繁に用いられます。
春牡丹は4月~5月頃、冬牡丹は1月~2月頃に開花するため、他の柄と組み合わせて抽象的に描かれている場合は、春以外の季節も着られる柄です。

3.夏におすすめの着物の柄3選

夏用の着物は涼しい素材を選ぶだけでなく、色柄で涼しさを演出することで、粋な印象を周囲に与えられます。暑さを和らげるような「薄いペールカラー」や視覚から冷たい印象を与えられる「寒色」などの色味がおすすめです。
着物は季節を先取りした文様が基本ですが、夏にはあえて真逆の雪輪など冬のモチーフを取り入れて「涼」を演出することもあります。

①撫子
夏には、日本女性の清楚な姿を表現する「やまとなでしこ」という言葉の由来となった撫子の花を用いることが多いです。
撫子は秋の七草のひとつに数えられ、季節を先取りするために、7月~8月の盛夏に着る浴衣の柄として用いられます。清楚で上品に涼し気な雰囲気を出したい時に、おすすめです。

②花菖蒲
6月頃に湿地で青い花を美しく咲かせる植物で、5月~6月頃に花菖蒲(はなしょうぶ)柄の着物を着る人が多いです。菖蒲を単独で描いた柄だけではなく、涼し気な印象を出すために、風景の中に流水とともに描いた柄もあります。

③紫陽花
紫陽花(あじさい)は日本固有の花で、古くから浴衣や着物の柄に多々用いられてきました。
梅雨~盛夏にかけて咲くため単独の柄は夏に着ることが多く、特に6月~7月頃の真夏になる前の時期の着用がおすすめです。白や水色、紫など色の豊富さも魅力で、選ぶ色によって異なる印象を与えてくれます。

4.秋におすすめの着物の柄3選

お彼岸を過ぎた9月下旬頃から、秋を意識した柄の着物を身にまといましょう。秋におすすめの色は、紅葉のような朱色や茶色、辛子色などの暖色系です。柿のような橙や葡萄のような深い紫もよく着られます。

お彼岸を過ぎた9月下旬頃から、秋を意識した柄の着物を身にまといましょう。秋におすすめの色は、紅葉のような朱色や茶色、辛子色などの暖色系です。柿のような橙や葡萄のような深い紫もよく着られます。

①萩
萩は紅紫や白い色の小さな花をたくさん付ける、秋の七草のひとつです。夏から秋にかけての着物柄によく取り入れられ、最近では他の季節の草花模様とともに描かれ春秋の文様としても用いられます。

②桔梗
桔梗(ききょう)も秋の七草のひとつで、初秋から10月頃までの着用がおすすめです。季節の先取りとして、盛夏に着られることもあります。

③紅葉
楓の葉が色づいた紅葉は、盛夏の疲れを癒し、秋の収穫を祝う意味を込めて、平安時代から紅葉狩りの風習が始まりました。桜などの春の植物とともに描かれたものや抽象的に描かれたものは通年着られますが、一般的には10月~11月頃を中心に着られることが多いです。

5.冬におすすめの着物の柄3選

草花などの自然の色が少なくなる冬の景色には、華やかな色合いの着物が美しく映えます。お正月などのおめでたい場面では、松竹梅や南天などの縁起物の柄が描かれた着物が人気です。
一方、華やかな色合いだけではなく、冬の草花に雪が添えられた上品で趣のある柄を好む人も少なくありません。

①松
お祝い事のシンボルである「松竹梅」のひとつで、おめでたい時に重宝する柄です。松は常緑樹で1年中青い葉の色が変わらず、樹齢も長いことから不老長寿の象徴とされてきました。松は冬だけではなく、通年着られる柄です。

②椿
椿は早咲きと遅咲きの品種があり、晩秋から仲春までの幅広い期間咲く花であるため、晩秋から冬の終わり頃まで、椿柄の着物が着られます。
古くから「春の訪れを告げる木」として広く知られており、特に春を待つ12月~翌2月頃の着用がおすすめです。他のモチーフと合わせた柄であれば、通年着通すことができます。

③菊
菊は、古くから薬としての効果を持つ花として用いられてきました。そのため、菊の柄には不老長寿を願う意味が込められています。着物の柄としてよく描かれる柄で通年使われますが、秋から冬にかけての着用がおすすめです。

6.季節ごとに着物の柄を変えたいなら「レンタル着物」がおすすめ

日本では古くから、着物の柄に季節感を取り入れる文化があり、季節を先取りした柄を着こなすことが、おしゃれだとされてきました。
例えば、春を待つ晩冬に春の草花を、夏の訪れを感じられる初夏には涼し気な色柄を取り入れるなど、季節の進捗から遅れないことが、着物をおしゃれに着こなすポイントです。少し時期を過ぎた柄の着物を着ていると野暮ったい印象を与えてしまいます。

季節によって違った柄の着物をたくさん購入し、装いを変えることが難しい場合は、「レンタル着物」の活用がおすすめです。レンタル着物であれば、着物から帯、小物まで季節にあったコーディネートを気軽に楽しむことができます。

7.まとめ

「春の桜」「秋の紅葉」「冬の雪」など誰もが知っているメジャーな柄以外にも、各季節を感じさせるモチーフは数多くあります。「春の藤」や「冬の松」など長寿や豊作の願いが込められているものがあるため、シーンに合わせた柄の着物を選ぶことで、より粋な着こなしが可能です。

季節ごとにおしゃれな着こなし方は異なりますが、難しく考える必要はありません。自分の好きな色や柄の着物を着付けていくことで、次第に自分に似合うものや季節感の取り入れ方に詳しくなります。季節感を意識しつつ、着物の色柄選びを楽しみましょう。

合わせて読みたいコラム一覧